BS-G3024MRの静音化
当店のお客様(法人)で使用していたBUFFALOのL3スイッチ BS-G3024MRが調子悪くなりました。
こういうスイッチはVLANを構築したいがために使用する機器なのですが、どうも走っているプログラムが停止(フリーズ?)するようです。
リセット(再起動)するとしばらく正常に動作するのですが、何時間か後に不具合が発生します。
※VLANとは・・・を解説しているサイトへのリンクhttp://www.infraexpert.com/study/vlanz1.html
BS-G3024MRは既に製造中止になってしまい、後継機種も発売されていません。
修理に出す場合でも、代替機を用意しないとネットワークを止める訳にはいきません。
そこで、この際新古品でも中古品でもいいので、色々探したのですが新古品は見つかりません。
某オークションでやっと中古品を入手したのですが、残念ながら完動品ではありませんでした。
一応電源は入るので電源基板部分は正常のようですが、肝心のLANポート部分が死んでいます。
いわゆるジャンク品でした。
仕方がないので、ブロードバンドルーターとL2スイッチで仮設のネットワークを構築して、調子の悪いBS-G3024MRを修理に出しました。
すると、新品が返って来ました。
メーカーでは、修理対応のために製造中止から何年間かは新品在庫を確保しているようです。
BS-G3024MRに限らず、空冷のためのFANが付いている機器はそのFANの音がとてもうるさく感じるケースが多いです。
家庭用ならとてもうるさくて我慢できないレベルです。家庭でなくとも静かなオフィースに設置してあるとかなりうるさいです。
このBS-G3024MRも運転音が相当うるさい機器です。
そこで、オークションで入手したジャンク品で、静音化の実験をやってみることにしました。
まず、製品を分解して中を見てみます。
中央のヒートシンクの下にはプロセッサーがあるのでしょう。かなり発熱するようです。 今回はそこへ温度計のプローブを固定しました。 写真下側にもばかでかいヒートシンクがあります。 写真一番上には空冷用のFANが2個付いています。 |
こういうスイッチ(おおがかりなスイッチングHUB)はまるで小型のパソコンです。
うるさい音の原因は、製品後部に付いている空冷用のFANです。しかも2個付いています。
自作パソコンでよくやられている静音FANに交換すれば静かになるはずです。
そこで、まず現在付いているFANの素性を調べてみました。
台湾のDelta Electronics AFB0412MB という機種でした。
仕様表を確認したところ
寸法 | 40x40x15mm |
定格電圧 | 12 VDC |
定格電流 | 0.09A |
電力定格 | 1.08W |
回転速度 | 6000 RPM |
エアフロー | 0.230㎥/min、8.12CFM |
圧力タイプ | 0.202 inch(5.12mm)Aq |
ノイズ | 24.5 dBA |
40mm×40mmのFANが6000 RPMもの回転数で廻っているため、風切り音・モーターの音がうるさく感じるのでしょう。しかも、このFANが2個搭載されています。
実際、静かな室内ではかなり 「う」 「る」 「さ」 「い」 です。
では、静音化のために用意するのは何が良いのか・・・・・
自作パソコンなどでは、静音FANを使うのが常套手段となっています。
パソコン用の静音FANを探すことにしました。
この際、多少高額でも耐久性と静音性に優れているFANを採用することにします。
今回採用したのは、「OwltechのSF-12S4」です。
FANそのものは「山洋電気製」と謳ってあります。
詳細なデーターは山洋電気のサイトから入手しました。
仕様表をまとめてみます。
FANの実物には「9S1212L4041」という型式が明記されています。
Owltechが山洋電気からOEM供給を受けているのでしょうか。
一番近いのは「9S1212L401」だと思います。
山洋電気9S1212L401 | |
寸法 | 119x119x25mm |
定格電圧 | 12 VDC |
定格電流 | 0.08A |
電力定格 | 0.96W(12×0.08=0.96) |
回転速度 | 1500 RPM |
エアフロー | 1.36㎥/min、48.1CFM |
圧力タイプ | 0.06inch(1.52mm)Aq |
ノイズ | 17 dBA |
Owltechのパッケージ表記SF-12S4 | |
寸法 | 119x119x25mm |
定格電圧 | |
定格電流 | |
電力定格 | |
回転速度 | 1500 RPM |
エアフロー | 1.36㎥/min、48CFM |
圧力タイプ | 1.52mmAq |
ノイズ | 17 dBA S4レベル |
風量やノイズは実際にやってみないと分からない部分も多いと思います。
Delta Electronics AFB0412MBが2個なので単純に
風量=0.230㎥/min×2=0.46㎥/min
ノイズ=24.5 dBA×2=49dBA で良いのか・・・・
Owltech SF-12S4 1個でも・・・
風量=1.36㎥/min
ノイズ=17dBA
風量は大幅アップ しかも静か。
冷却性能は、SF-12S4 1個の方が静かで冷え冷え~~!(計算上は・・・)
早速実験してみます。
上の写真のようにケース上面へ円形の穴を開けました。
カタログでは、変形八角形の穴を推奨していますが、ニブリングツールなどで綺麗に穴開けする自信がありません。
110Φのホルソーがあったので、電動ドリルで穴開けしました。
それでも、鉄板の厚みが結構あるので時間がかかりました。
ビスの取付穴の位置が微妙にずれてしまい、3本でしかFANを固定できなくなりました。
ちゃんと罫書いたつもりだったのですが、私の板金技術ではこんなものかと諦めました。
3本でもがたつきはありませんので、支障なし。
いよいよ、実験開始。
AFB0412MBが刺さっていたコネクターにSF-12S4をそのまま刺しましたが、廻りません。
焦って、カタログを確認してみました。
AFB0412MB
・赤線+
・残りの青線(センサー)
・黒線-
SF-12S4(9S1212L4041)
・赤線+
・黒線-
・黄線(センサー)
あっ!コネクター部分の配列が双方で異なっている・・・・・
というわけで、SF-12S4の方をAFB0412MBに合わせました。
再度、コネクターを刺すと、順調に廻り始めました。
電源ONから数時間経過後の温度測定結果です。
上の段は、装置の外(室内)気温
下の段は、装置内のプロセッサー?ヒートシンクにテープで貼り付けてあるプローブ温度
Delta AFB0412MB×2個 | Owltech SF-12S4 |
Owltech SF-12S4の場合 装置の外(室内)気温が26.4℃
装置内ヒートシンク26.1℃ (゜-゜)
装置の外(室内)気温よりもヒートシンクの温度が低い?!?!?
風は装置の外から内部へ吹き付けるようにFANを取り付けてあります。
装置内ヒートシンクには、ダイレクトに風が当たります。
だから、ヒートシンクが冷え冷え~~~になるのかな?!
翌日、事務所室内が静かなうちにノイズの測定と念のため温度再測定を行ってみました。
まず、ノイズの測定です。
うちにはノイズ測定ができる器具などありません。
簡易的にスマホのアプリを使って測定してみます。
観念的に静かになった・・・と書いても説得力がありません。
「Sound Level Analyzer」というアプリを使って数値化してみます。
主観のみの比較よりもましです。
AFB0412MB 10cm | SF-12S4 10cm |
AFB0412MB 1m | SF-12S4 1m |
装置から10cmの距離では6.7dBくらいの差ですが、1mの距離では12.7dBもの差があります。
AFB0412MB×2個の場合は、装置から数メートル離れても「うるさく」感じますが、SF-12S4の場合は2mも離れるとほとんど廻っているのか分かりません。
それくらい「静か」になりました。
静音効果抜群です。
温度の再測定もやってみました。(SF-12S4の方のみ)
電源ON直後、空調はOFF |
電源ONから1時間経過、空調はON |
電源ONから2時間経過、空調はON |
電源ONから4時間経過、空調はON |
前回測定のような 「装置の外(室内)気温よりもヒートシンクの温度が低い」という怪現象はありませんでしたが、AFB0412MB×2個よりも確実に冷却効果がありそうです。
しかも静かで、低消費電力。言うこと無し! 実験は大成功!!!!
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2016年9月3日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:PC周辺機器